和の心のフォーラムとは

 

江口克彦

宮脇 昭(みやわき あきら)

昭和3年1月29日(1928) 岡山県生まれ

広島文理科大学(現:広島大学)生物学科卒業

横浜国立大学名誉教授、
財団法人 地球環境戦略研究機関国際生態学センター長

最も大事なものはいのちです。今私たちが生きているということはまさに宇宙の奇跡です。数ある星の中でたった一つ小さな地球という星に、科学的な偶然あるいは必然性によって40億年前に原始のいのちが生まれました。かつて地球上には何千回、何万回のローカルからグローバルの様々な大変動があり、愚かな生き物は絶滅し、危機をチャンスに私たち人間(Homo sapiens)は生き延びているわけです。 
人類が出現してから500万年。そのほとんどは森の中で猛獣におののきながら、木の実を拾ったり、若草をつんだり、海岸の貝を拾って生活していました。人間が他の生物と違うことはこころと感性・知性を持っていること。大脳皮質が異常に発達して、個々の事象を見たり、触れたり、触ったり、においをかいだりして認識し、その個別な知識を記憶し、まとめ、過去を振り返り、未来を予測する能力を磨いてきました。 
今そのいのちの母胎:生きている緑が濃縮している「ふるさとの森」:「土地本来の森」があまりにも少なくなっている。どれほど科学・技術を発達させ富を築いても、私たちは地球上に生かされている限り、緑、すなわち森の寄生者の立場でしか生きていけない。緑には色々あるが、高木、亜高木、低木、下草、土の中のカビやバクテリアなどの土壌生物群などが、ローカルからグローバルに繋がるエコシステム:生態系の唯一の生産者である緑:多層群落の“ふるさとの木によるふるさとの森”はまさに森の小宇宙です。すべての人間のいのち、知性、感性を守るために今、私たちは失われている森を足元から未来に向かって創造していく具体的な目標と努力と活動が求められています。 
生態系の消費者の立場で生かされている私たちが生き延びるため、共に足元から木を植えましょう。

宮脇 昭